時代の進化は牛にまで

四万十牛本舗の代表の横山真紀です。

牛は言葉をしゃべれません。

生き物を育てる畜産業にとって出荷されるまでに命がなくなるのは商売としての死活問題となります。鳥インフルエンザ、豚熱、口蹄疫等ウイルスによって感染する病気は大変恐ろしい伝染病です。

四万十牛の畜舎においても同じです。鼻水を垂らした風邪ひきさんがいれば獣医さんに診てもらって薬を飲ませ、肺炎などの症状になれば隔離して他の牛に移らないように対策をします。

牛は言葉をしゃべれないので飼う側がよく観察し異常を見つけてあげることは大切な仕事です。

しかし大きな生き物特有の恐ろしい事故がかなりの頻度で起こることがあります。

それは牛の起立困難。  

通常牛は前足を折ってすぐに立ち上がれる体勢で休みますが、時にはリラックスして足を延ばした状態で横になります。その体制が数時間経つとおなかにガスがたまり起き上がることが難しくなる状態に陥ってしまうことを言います。

その状態になると何とか起き上がろうと足をばたつかせパニックにおちいるのです。その状態をいち早く見つけ頭の向きをロープで引っ張って誘導してあげる処置が必要となります。

800kgの巨体を人間の力で起こすことは不可能なことなので自ら立ち上がることができる体勢へと導いてあげるのです。しかしそれが人の目が行き届かない夜間に起こると牛は胃にガスがたまり、やがて横隔膜を圧迫し呼吸困難による死亡に至ってしまうのです。

当牧場でも過去にはおなかにガスがたまった状態で息絶えた牛を何度見たことでしょう。その度に苦しかったやろう、助けてあげられなくてごめんと申し訳なく思うのです。夜間の見回りをしても朝までの数時間に起こるとも多々あり、農家の頭を悩ませていました。そんな折時代の進化は畜産農家にもやってきたのです。

今や聞かない日がないAI(人工知能)です。各個体に装着することでその牛の健康状態を管理することができるようになりました。例えば先ほどの起立困難が起こった場合、設定したスマートフオンに異常を知らせるアラームが作動します。それによって深夜に起こってもすぐに駆けつけて処置できるようになり死亡事故も格段に減りました。

それだけでなく病気の早期発見、治療後の経過観察等様々なデータがパソコン上で管理することができるようになりここ10年の間の時代の変化に驚くばかりです。

横山畜産で飼育される250頭の牛が無事出荷されるようAIとともにしっかりとケアしながら飼育し品質の良い四万十牛を生産していきます。