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四万十川の漁猟

四万十川には昔からの伝統漁法が多く存在しています。日に日に継承者が少なくなり、今では行われていないものやできないものもあります。長年の経験と知恵で獲る川漁は非常に難しく奥深いものです。

あゆ漁
友釣り

鮎漁の王道。一度はまると抜けられない釣道。

【道具】

  • ◎釣り竿
  • ◎仕掛け
  • ◎タモ
  • ◎おとり缶
  • ◎クーラーボックス
  • ◎活きの良いおとり鮎

【漁法】

鮎は成長すると「なわばり」を作ります。その「なわばり」に他の鮎が入ると攻撃する性質があり、それを利用した漁法です。おとり鮎という生きた鮎を仕掛けにつけて泳がせ、「なわばり」に侵入させます。そこで、攻撃してきた鮎を針で掛けて獲るのです。鮎の性質や動き、川の状態を見て、おとり鮎を扱いながら獲るため非常に高度な技術が必要。その分、獲れた時の面白さは格別!一度、始めるとやめられないと言います。釣鮎は、友釣で獲った鮎です。一本ずつ、しめられているので非常にきれいな鮎です。友釣のため、魚体に針がかかった跡があります。

ころがし(ごんぶり)

どんな日でも鮎と遊びたい、危険な漁師達

【道具】

  • ◎釣り竿
  • ◎仕掛け
  • ◎クーラーボックス

【漁法】

ころがしは竿や仕掛けを転がしながら獲ることから呼ばれた名前です。地域によってごんぶりとも言います。この漁法は非常に危険です。大雨が降って増水した後、川は濁り流れが急で荒れ放題です。その時、鮎たちは非難するために川岸に寄って来るのですが、その鮎たちを引っ掛けて獲る漁法です。竿を転がしながら獲るので、石やゴミに引っ掛かり抜けなくなることもシバシバ。台風や大雨の後、漁師たちは川へ集まるのですが、事故も多く非常に危険なので、ベテランの漁師限定の漁です。

しゃくり

まるで仙人、鮎と一体となる

【道具】

  • ◎しゃくり竿
  • ◎はこ眼鏡
  • ◎おとり缶
  • ◎クーラーボックス

【漁法】

しゃくりは、箱メガネで水中の泳いでいる鮎を見て、針で引っ掛けて獲る方法です。自分の眼と身体を使って鮎と1対1の勝負です。単純な漁ですが、鮎漁の中でも一番難しいかもしれない漁法。一日で3桁もしゃくる超人も存在する。

とあみ

投げると円錐になる網を使います。

【道具】

  • ◎とあみ
  • ◎クーラーボックス

【漁法】

網を使う漁法の一つ。手投げする網の種類が様々ありますが、これは、肩に網をかけて投げ出すと円錐形に広がる網です。川面を見ながら、群れを見つけてそこに向けて投げてとります。投げ方は慣れないと難しく、網が重いです。

なげあみ

鮎を見つけたら、網を投げて追いたてろ!!

【道具】

  • ◎刺網または袋網
  • ◎クーラーボックス

【漁法】

手投げ網は構造が様々です。袋網は刺網の下の部分が袋状になっていて、主に瀬で使います。刺し網はトロ場で使います。投げ方は人それぞれですが、着水の時は半円を描かないといけません。鮎の群れを見つけて、鮎が来るところに網を投げ遮断し、後ろから追いたてて、網目に鮎がかかる漁法です。その時期の鮎の大きさを考慮して網目刺しや錘を選びます。網が破れやすく、絡みやすいので取り扱いに注意が必要です。

火振り漁※要許可

夜、火を振り網に追い立てる伝統漁法

【道具】

  • ◎川舟
  • ◎電灯
  • ◎たて網
  • ◎クーラーボックス

【漁法】

その名の通り、火を振って鮎を追いたて網に追い込みます。基本的にはチームで行います。日没時に集まり、所定の位置を決め、一斉に川へ網を張ります。その後、火や音を使って鮎を追いたて、張った網へ鮎を追い立てます(現在は電灯を使います)。これを何度か繰り返して鮎をとります。日没から始めて、日をまたぐことも多く大仕事です。この漁法は、大量に捕獲するため特別な許可が必要です。その他の人が行うと違法となり刑罰の対象となります。

しめ縄※要許可

鮎を通せんぼう

【道具】

  • ◎縄
  • ◎立てる棒
  • ◎網等
  • ◎しめ縄の許可証

【漁法】

鮎が下流へ下るときに、川幅いっぱいに縄を張ります。鮎は、縄があると下へ下れないため、周辺に留まります。その鮎を網で獲る漁法です。この漁法は、特別な許可を得た人しかできません。その他の人が行うと違法になり、刑罰の対象になります。

落ち鮎漁

産卵のため川を下ってきた鮎をとる

【道具】

  • ◎釣り竿
  • ◎仕掛け
  • ◎クーラーボックス
  • ◎網等

【漁法】

秋風が吹くころになると、産卵するため再び海を目指して川を下り、河口付近で産卵します。落ち鮎とは、この秋の産卵期に川を下ってきた子持ちの鮎のこと。網や釣りでとります。

うなぎ漁
延縄

縄を延ばして鰻を釣ります

【道具】

  • ◎仕掛け
  • ◎川舟
  • ◎エサ

【漁法】

うなぎの餌は川えびやハヤンボ、かんたろう(大みみず)が多いです。テグスに針を均等につけ、エサを一針ずつ付けます。夕方に川舟を走らせ、仕掛けを川幅に張りながら仕掛けます。次の日の朝、引き揚げてうなぎを獲ります。

ころがし

一度入ると出られない手作りの仕掛け

【道具】

  • ◎ころばし
  • ◎エサ

【漁法】

川えびやハヤンボ、かんたろう(大みみず)などのエサをころばしという筒に入れて、川に沈めておくと餌に誘われて入った鰻が出られなくなります。置く場所や方向が非常に重要です。

釣り

増水した夜に釣る

【道具】

  • ◎釣竿
  • ◎ヘッドライト
  • ◎エサ

【漁法】

増水した夜、かんたろうやミミズを餌にして、釣ります。うなぎは、平水時はあまり動きませんが、増水時は川の中が荒れて混乱し、お腹を空かせた状態です。濁水の中、エサのにおいに食いつき釣れるのです。

つがに漁
カニかご

かごを沈め、翌朝を待つ。

【道具】

  • ◎かにかご
  • ◎えさ

【漁法】

かにかごは一人5個までつけられます。かごには、魚の頭やアラなどを餌として夕方に仕掛け、川に沈めておくと、カニが餌を求めてかごに入り、翌朝引き揚げるという漁法です。

川えび漁
ころばし

エサは糠と土を使います。

【道具】

  • ◎ころばし
  • ◎えさ(糠・赤土)

【漁法】

うなぎのころばしと方法は一緒です。餌は、米ぬかと赤土を混ぜたものを使います。川につけて、一晩おいてから引き揚げます。

えびたま

ライトで照らすと目が光る!

【道具】

  • ◎えびたま
  • ◎取り付け棒
  • ◎はこ眼鏡
  • ◎ヘッドライト

【漁法】

えびたまという小さな網を棒の先端に取り付けて、川に潜ってエビを見つけて獲ります。もしくは、夜に川岸に集まるエビを捕まえます。夜は、エビの眼が光るので見つけやすいです。エビは後ろに動くので動きを読んで網でとります。